「あると便利」から「なくては困る」存在に。暮らしの中の和みスポット【稲城駅前郵便局】

季節ごとに変わる局内の装飾が楽しみな郵便局が稲城駅前にあります。友iな人々5回目は2007年から局長を務めている、小國さんにお話をうかがいました。

 

郵便だけじゃない郵便局のお仕事。貯金やかんぽの窓口も少数精鋭で対応。

−稲城駅前郵便局のお仕事と、小國さんのお仕事の内容を教えてください。

「(稲城駅前郵便局は)窓口業務である郵便、貯金、かんぽ(簡易保険)の取扱いをしています。私はたまに窓口をやったり、総務的な役割をしています。社員の給与、指導、研修、育成。仕事がしやすい環境づくり、マネジメントですね。物品の購入とかメンテナンスとか。稲城市内8局の郵便局を統括する役割をもっているので、稲城市内で情報共有しています。」

郵便の窓口はパートの方がメインで対応し、貯金、かんぽの窓口は専門の資格を持った社員さんが対応しているそう。業務提携をしているアフラックのがん保険も扱っているという。

「大体5〜6人と人数が少ないので勤務の割り当てに苦労しています。」

コロナ禍で、職員さん本人が罹患していなくても濃厚接触者になると出勤できず、更に運営が難しくなったそう。まれに郵便局が一時閉鎖するのはやむを得ない場合だという。

 

−商店会に郵便局が入っているのは珍しいのでは?きっかけは何ですか?

「縁結び友i商店会が発足したときにタカハシ・ミュージック・プラザさんにお声がけいただいて。」

コロナ禍の前に行われた地元のお祭りでは、イナキッチンさんやホイップさんの協力のもと、食べ物の屋台を出したこともあるそう。

「会社の方針として地域に根づいた郵便局を目指しているんです。」

郵便局は法律で郵便等に関するユニバーサルサービスを提供すると定められている。商品についてのサービスだけでなく、地域のいろんなイベントに局長さんが参加して、地域の皆さんのお声を聞いているのだという。地域の取り組みに参加することは強制ではないそうだが、それぞれの局長の判断で取り組んでいる。

「中には消防団に入ってらっしゃる局長さんもいますし、私みたいに商店会に入ったり、自治会に入ったりする方もいます。」

 

時代の流れと共に変化している郵便局の姿。

−対応が難しい郵便物はありますか?

「ここは郵便物を引き受けて(集配局の)多摩郵便局の車に渡す窓口なので、配達はしないのですが、最近厳しいのは内容品に危険物がないか。飛行機に乗せられないものとかですね。」

コロナ禍の初期に特徴的だったのは、消毒液の郵便の依頼があったことだそう。引火性があるので航空便では送れない。国内の宛先のものについては、かなり日数がかかることを説明して陸送に変更したり、海外は陸送がないので送れないなどの説明をする。他にも、整髪料などのコスメティック商品も引火性があるものは航空便では送れない。海外への郵便物は内容品に記入がなくても搭載時にX線で確認されて、送れないものは戻されてしまうので、戻された時の対応に苦慮するのだそう。

「あとは、悲しいことに郵便を出す人が少なくなっているので。郵便というもの自体、なかなかみんな離れてしまっている。SNSやメールで書けば63円とか84円はかからないかもしれないけど、時には直筆の言葉でお伝えするのがやっぱり愛なのかなって思うんです。」

年賀状の他に筆記具、お菓子など多彩な商品が並んでいる

−窓口に色々な商品がおいてありますね。

「郵便局をコンビニ化するという話もあって、ご覧いただくと色々な商品があります。キャラクターものとか。郵便局に行けば何でも買えるっていうふうに将来は(なる可能性があります)。コンビニと郵便局がくっついた店舗もあるそうです。」

記念切手などのほかに、文房具やお菓子、ハチミツやジュースなども販売している。局によって置いている商品は異なるという。

また、ショッピングセンターの中の郵便局は営業時間が10時から18時までだそう。

「ひと昔まえの郵便局とはちょっと違いますよ。」

「人」を大事にする。働きやすい職場のマネジメント。

−女性の社員さんが多いですね。

「地域にもよるかもしれないです。多摩地域の郵便局は女性が多いですね。稲城市内の郵便局6〜7割女性かな。うちの会社は福利厚生もよくできているので、お子さん産んでも普通に復帰してこられます。介護とかの制度もありますので、気持ちよく利用してもらうように社員にいっています。」

女性が出世するケースも多く、女性管理職も増えているそう。男性だけではアイデアが湧かないこともあるので、女性目線が必要なのでは、という。

「男も女も関係ないと思っています。まだまだ組織的には男性幹部が多いんですが、女性幹部は増えていくと思います。」

−以前、近所でキッチンカーが出ていた時に皆さんの分を買いにいらしたと伺いました。

「社員は楽しみだったようです。家内のお弁当をキャンセルして私も買いました(笑)」

社員さんのお昼の時間を削れないから、と局長自らがまとめて買いにいっていたという。

「ちょっと食べさせてよって(家族に)言われて、家にも買って帰りました。」

「この郵便局がないと困る」と思っていただけるような、賑わいのある郵便局を目指して

ペーパークラフトで窓周りも装飾している

−近隣の南山地区が開発されて人口が増えましたが、忙しくなりましたか?

「住所変更で来てくれることは来てくれるのですが、その後は何かの用がなければ。振込などもネットで済んでしまいますし。」

小國さんは新卒以来ずっと郵便局で働いてきた。昔のように活気のある郵便局にしたい。それにはお客様と少しでも会話をすることが大事という。『あの郵便局雰囲気がいいから何かあったら相談しよう』と思ってくれるお客様を一人でも増やしていきたいそう。

「それはやっぱり人なんですよね。」

たわいのない会話を楽しんでもらう“お友達”のような関係性から郵便局の商品に関心を持ってもらい、お客様が満足していただく。その積み重ねにより『この郵便局がないと困る』と思っていただけるようになれば、という。

おせちの伊勢海老まで再現!手作りのペーパークラフトはお客様のために。

おせちの見本。重箱から伊勢海老までもちろん手作り

−窓やカウンターにあるペーパークラフトが可愛いですね。

「季節に応じて手作りの飾り物をしています。味がありますよね。俺にはできないけど(笑)うちは得意な人がいるので、手すき時間をみながら一生懸命チョキチョキやってもらっています。」

局内を彩るペーパークラフトの装飾は、稲城駅前郵便局のオリジナル。おせちの見本などは伊勢海老まで精巧につくられている。

「どうやってつくったの、とお声がけいただけるようで、嬉しいですよね。お客様に喜んでいただければと思っています。」

装飾を含め、どのような郵便局にするかは局長の方針によるのだそう。女性が多い局でその良さを引き立てる『お父さん』的なリーダー像が垣間見える。クリスマスの時期は郵便局前のポストも飾り付けを行うという。みんなが楽しくお手紙をだしてくれれば、と笑顔を見せた。