リピーター続出!!大事な衣類をお願いしたい『お洗濯博士』がいるお店【クリーニングスズキ】

「シミつけちゃったから早くクリーニングに出したいけど、いいお店ないかな」そんなときは是非オススメしたい!にこやかな受付のお母さんと、汚れの種類を瞬時に見分ける『お洗濯博士』がいるクリーニング店が稲城駅のすぐ向かいにあります。

友iな人々第2回目はクリーニングスズキさんご夫婦にお話を伺いました。

 

昼間なのに人がいない・・・25年前の稲城で、ゼロからの開業

―稲城でお店を始められたきっかけを教えてください。

「生まれた時から(実家が)クリーニング屋をしていたんです。」

代表の鈴木啓司さんは従業員が7〜8人いる世田谷のクリーニング屋さんで育った。学生の頃からお店で働き、修行のために大手チェーン店の研修に行くこともあったという。しかし男兄弟3人だったため、実家の店舗は弟たちに任せて独立することに。

「ここのお店(物件)を発見したのも本当に偶然なんだよ。あちこち探したんだけど中々お店って見つからなくて。」

住まいの最寄駅は小田急線の生田駅。当初は東急田園都市線沿線で探していたが、思うような物件が見つからない。そんな折に知人から『向陽台に住んでいる友達がいて、これからひらけそう』と言われ、全く縁がなかった稲城市を訪れた。しかし稲城駅前に行ってみると、昼間なのに人が歩いていない…。
果たしてここでやっていけるのかと不安になりつつも、たまたま空いていた現在の店舗で1997年に開業。

「最初は大変でしたよ。本当にお客さんがこなかった。娘がちっちゃかったから学校帰ってくると(生田の家まで)迎えに行って連れてきて一緒にポスティング行ったんです。向陽台とかどんどんポスティングして。それで何とか持ち堪えて今現在なんです。最初のうちは大家さんが心配してくださって。」

「(奥様)大丈夫?っておっしゃって(笑)」

「不動産屋さんは『じきに開発されるから良くなりますよ』と言ってたけど、10年?20年近く経ってから開発されたね(笑)」

泥ハネは泥のみにあらず。目利きの汚れ分析

【染み抜き機】溶剤でシミを浮かせ、汚れだけをピンポイントに吸い取る

クリーニングスズキでは、衣類をお預かりした後に、自慢の専用レジからお客様のネームタグ(持ち主がわかるように)を出力する。その後ポケットの中身を点検し、色ごとに分けながら、一緒に洗えるか洗えないかを即座に判別していく。なお、クリーニング店で最も気をつけなければならないのが、商品への色移りや紛失だが、スズキさんではそのような事故は開業以来ほぼないという。

「品物を見る見分けができないと。それは長年の経験ですね。」

 最近ではお客さん自身がチェーン店に出す服とスズキさんに出す服とを使い分けしているそう。

 「カシミヤのコートやブランドものも持ち込み多いです。個人店の良さっていうのはそういうきめ細かいサービスができるっていうところ。」

 ―クリーニング屋さんでも困ったシミはありますか?

「結構あるんです。例えば色ものにインクがついていたら、漂白しなきゃならないから製品として成り立たなくなっちゃう。だから見てこれは取れるかなってものしかあえてやらないんです。」

「(奥様)あとはお客さんに確認だよね。一か八かやってくださいってお客様もいるの。」

 例えば、水性のインクは汚れが取れやすいと思われがちだが、化学的に作られているため、クリーニング店でも苦戦するそうで、逆に昔ながらの油性のインクのほうが簡単に取れるのだそう。

 「あとは泥ですね。よくね、お客さん「泥はねなんですよ」っておっしゃるけど、道路なんかにも油の成分がきっと入ってるんですよ。ガソリンとか、アスファルトだって油だから。何回か家で洗って、(汚れが取れなくて)うちに持っていらっしゃる事があります。」

―日にちが経ったシミでもスズキさんにお願いすれば取れますか?

「結構、取れるものは取れます。」

「(奥様)何にせよ早く持ってきていただくに越したことはないです(笑)」

 

経験に裏打ちされた「臨機応変力」は、メーカーの洗濯表示をも凌駕する。

【人体プレス機】 アイロンを直接生地に当てないのでアイロンあたりやテカリが無く風合い良く仕上がる

「うちの仕事って細かい仕事がとっても多いんですよ。ボタンだってそうです、ひとつひとつ全部違うし。特に女性ものの飾りボタンは本当にないから。ジャケットはボタン保護のカバーをしたり。洋服だってそれぞれ違うじゃないですか。スパンコールがついてたり、モヘアもあればカシミアもある。どうやって見分けて仕分けて洗うか。」

最近は水洗いできるはずの素材でもドライクリーニング表示になっているものがあるそう。

「うちは表示通りではなく臨機応変に対応します。水で洗った方がお客さんに喜ばれるし綺麗になるし。自分で見分けて水洗いすると本当に綺麗になって。『え?こんなに綺麗になったんですか?』って。」汚れの状態を見て、水洗いにするかドライクリーニングにするかを見分けている。表示通りではない洗い方をることが自分の責任でできることも、チェーン店と違うところという。

家庭でよくある失敗としては、手洗いではなく洗濯機で回したことが原因のことがあるという。

「洗濯って回転させたほうが落ちると思われているけど、そうでもないんですよ」

洗剤を入れて浸し洗いで落ちる汚れもある。結構自宅で洗えるものもあるそうで、

「自宅でお仕事(洗濯)をされる方の、ちょっとしたお手伝いの延長みたいな形なんですよね、うちの仕事って。」と笑顔を見せる。 

今はユニクロやワークマンなどのカジュアルウエアが多く、クリーニング市場が縮小している。個人店が生き抜いていくには細かいケアが必須だという。 

「(奥様)他で落ちないって言われたんですけどやってみてください、という方もいらっしゃるんです。それで落ちると『えっ!?』って驚かれて。そういうこと結構あります。シミ抜きは無料というところもありますが、うちは有料なので。」 

受付もほとんど奥様が対応。気になるところを伝えれば、ダイレクトに作業を行うご主人に伝わるため、「間違いがない」ことが安心感につながるのではという。

ご縁がつながり愛されるお店に

大手不動産ディベロッパーの現場作業服やモデルハウスの制服のクリーニングを丸ごと受注することもある。

「大きなマンション開発があるときは、必ず声かけてくれるんです。」

 向陽台のアルボの丘の建設の時の作業服も出張配達などした。どんな服であれお客様が依頼してくださるんだから、と対応し続けて信頼をコツコツと積み重ねていった。

 「(奥様)色々な方に助けられてここまで来ました、ほんとに。」

 開業時は全く稲城に知り合いはいなかったものの、今や地域の方々が常連さんになり『スズキさんにいったら他いかれないわよ』と、口コミで広げてもらえるようになったそう。

 −クリーニングに持ってくる前に家庭でこれだけはしておいて、ということはありますか?

「とにかくいじらないで持ってきてください(笑)男の人のネクタイとか擦ると白くなっちゃって、よーく見ると毛羽立ってるんです。」

「(奥様)持ってきた時にシミはとれても摩擦で白くなったのはとれないので、そのまま持ってきてくださるのが一番綺麗な状態でお返しできます。」

 お茶なども乾いてしまうとタンニンの成分で落ちないそう。とにかく擦らないで品物をいためないのが一番という。

 −お客様にひとことお願いします。

「安心して出していただけるお店になるよう頑張って参ります。」

「(奥様)生活に密着している仕事ですから。」