原点は割烹料理。素材を活かしたおいしさで、著名人も魅了するお店【季節料理 和み屋】

稲城駅を出て南山地区の方面へ、線路を見下ろす公園の横を歩いていくと住宅街の一角に「季節料理 和み屋」の看板が見えてきます。読売ジャイアンツ女子チーム監督の宮本和知さんと女子選手をはじめとした著名人にも贔屓にされている和み屋さん。アットホームな雰囲気の店内で、丁寧に仕込まれた美味しいお料理を提供されています。
友iな人々8回目は店主の鏡田さんにお話を伺いました。

一見ちょっととっつきにくそう?実はとても気さくなマスターの鏡田さん。

 

―料理の道を志したきっかけを教えてください。

「料理の道ね、結構安直なんですけど、20代飲食店にいたんですね。手に職つけなきゃって、20代後半くらいに思って。知り合いの割烹の親方に相談したら、安い給料だけど教えてやるよと。月12万ですかね。120時間くらい働きましたね。」

 

―どのような1日だったのですか?

「朝築地行って帰ってきて準備して軽く寝て、親方が来るまでに(仕込みを)ひととおりやっておかなければいけなかったんですね。(親方が)来たら必ずコーヒーをだして新聞置いておくっていうのを3年半くらいやりました。丁稚ですよ(笑)ほとんど家に帰れなかったです。」

厳しい下積みであったものの、マンツーマンの指導のおかげで1年でひととおりの料理の技術が身についたという。割烹料理店で下積みをした後は6年ほどクラブ業界にいておつまみを作り、徐々に今も通ってくれるお客様と知り合っていった。その後お店を1軒任され、仕入れから売上までお店の運営を全て行った。2年ほどそのお店にいた後、知り合い3人と歌舞伎町で『和み屋』を始めた。ところが1年もたたないうちに2人がやめてしまい、改めて鏡田さんお一人で2009年に会員制の『和み屋』をスタート。稲城に移転して今年は10年目になる。

 

閑静な住宅街にある和み屋さん。駐車場が3台あるので遠方のお客様も多い。

―稲城でお店をはじめたきっかけはなんですか?

「歌舞伎町のときは朝6時まで仕事して、(稲城に)帰ってきて7時8時になり12時に起きていたので、大体4時間くらいしか寝てなかったです。それが、ローテーションというか、習慣、生活習慣病ですね(笑)親が、『それじゃ長生きできないでしょう、(実家のある稲城で)こっちで店やれよ』と。」

お料理教室もイタリアンもお弁当も手がける引き出しの多さ

−お客さんはどのような方が多いですか?

「年配の方が多いですね。ほかには30代ご夫婦やお子様連れという感じです。」

常連さんから料理を教えてほしいと頼まれ、お料理教室を開くこともあるという。鯵の3枚下ろしを教えたりするという。

 

―和食以外も美味しいと評判ですね。

「イタリア料理は興味があったので教えてもらったんです。他のお店との差別化もあって置いてあります。」

特に稲城の太鼓判になっている稲城野菜のカルパッチョはおすすめだそう。

「(カルパッチョの)野菜は稲城南山農産物直売所ほのかさんや農協で。レタスや人参の黄色いのがあるので、うまいこと(作ります)。このドレッシングは真似できないと思います。おそらく。」

お店で出しているお魚は市場で仕入れている。量が多い時は豊洲から電話注文で持ってきてもらうという。見た目も美しい一品でありセンスが光っている。

稲城野菜のカルパッチョ。こだわりの鮮魚と稲城野菜がドレッシングと絶妙にマッチ。

―コロナの時はお弁当も作ってらっしゃったんですね。

「非常事態のときは朝から晩までお弁当つくってました。6時くらいに起きてお店にきてご飯炊いて、ガス台にダンと置いて、弁当のパックもビャンって並べて9時くらいまで電話もじゃんじゃん鳴ってたので、150食以上つくったんじゃないかと。」

20201月〜6月のコロナの第1波では、3月に予定されていた予約が全てキャンセルになってしまったという。毎年予約で忙しいはずが全てなくなり、お弁当をやるしかなかったそう。余分な経費は全て削り凌いだが、このまま終わってしまうのか、と不安な日々だったという。

「お昼終わったらすぐ次の日の準備をして、鍋ごと冷蔵庫にバンと閉まって次の日ガンと(火に)かけて、、、電話も出る暇なかったですね。あの時は腱鞘炎になりました。」

和み屋さん直伝、お料理のワンランクアップ術

―お料理がワンランクアップするコツはありますか?

「味をつけるのが一番難しいかもしれないです。一晩寝かせるのがいいかも。例えばおでんの大根ってあるでしょう。その日は味も素っ気もないじゃないですか。23日したくらいがちょうどいいですね。」

味付けの仕方は素材ごとに異なり、かぼちゃはかぼちゃ、さつまいもはさつまいも、肉じゃがは肉じゃがの味付けの仕方があるという。

「肉じゃがを作る時って(普通は)最初から味付けちゃう。ダメです(笑)まず火が通ってからゆっくり味をつける。いっぺんに濃くしたら当然濃くなっちゃうので1、2、3くらいの順番で。牛肉か豚肉を入れる場合、一回ボイルしてから入れると濁りません。アクもでないし。ポイントです。」

料理の奥深さに魅せられ挑戦しつづける。よりよい店を目指して。

―作ってみたいお料理はありますか?

「あれ美味しかったなって食べに行った時に思ったものですね。あまり好きじゃないけれど、テレビで人気があるっていうもの。料理っていうのは奥が深いと思います。新しいものは常に挑戦してみようと思います。常に。」

こだわりの鮮魚を提供する一方で新たなメニューの開拓も進めていくところが常連さんを惹きつける大きな理由のようである。

 

―どんなお店にしていきたいですか?

「お客さんに気持ちよく帰っていただくのが一番ですね。もうちょっと知名度上げたいなとは思います。遠くからでも『あそこなら安心して食べられる』と来てもらえる、そういうお店にしたいです。よりよいお店を目指していくしかないので、日々精進ですね、何事も。」